【俳句】

しじゅうからにうたげも寒し花枕

 このひとこそと思い定めた女性に振られ、ながいあいだ破れかぶれでした。
 誘われて善福寺公園に夜桜を見に行きました。
 「願わくは花の下にて……」などと言いながら飲んで、いつもの通り前後不覚に陥りました。
 花とはまた別な甘い香りに気が付くと、空はすっかり白んでいました。鳥が鳴いています。
 私の頭の下に若い女性の膝があって驚きました。誘ってくださったお嬢さんではありません。そのかたのお友だちと紹介されたような気もします。ほかのみなさんがたは先に帰ったようでした。
 スカートの裾からのぞく白い足には、桃色の花弁が落ちかかっていました。密かにその香りを吸いこんでから、また眠りました……
 ……ぜんぶ夢だったかもしれません。





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